玉川温泉はテレビでその名は聞いてはいたが、100
℃近い源泉がボコボコと噴出し、あちこちの岩肌から真っ白な蒸気が吹き上げている。雄大な景色にびっくりし、湯治に訪れた大勢の老人たちの姿を見て胸にこみ上げてくるものがあった。長年社会や家族のために身を粉にして働いてきた人たちが、心身ぼろぼろになり、藁にもすがる気持ちで療養に玉川温泉にやってくる。現代医学に後6ヶ月の命と見放された癌患者が、ここで療養してその後6年も7年も元気で過ごしているという。このような効用があれば、だれでもこの地を訪れたくなるだろう。
 携帯マットやござと毛布を丸めて脇に抱え、急な坂道や階段をゆっくりと歩む足元の覚束ない老人たち。


 
 硫黄の匂いのがする山肌に低いテント小屋があり、そのなかで浴衣に着替えて、じっと横たわり療養に専念する。次から次と老人達が登って来る。テントに入れない人は地熱のある野外に場所を求め、日傘をさして横たわる。場所を確保できなかった人は、どのくらいで空くか聞いて回っている。


                     

出遅れたことを反省していた。こうして何日も何日もここで療養して行く。
男の時間に追われる目まぐるしい世界とは別次元の、時間の経過がゆったりした別の世界がここにあった。宿には自炊部があり、長期
療養の人たちに便宜を図っている。

それでも宿に入れない人たちは、遠く離れた道路に駐車し、車の中で寝泊りし、大きなポリタンクを幾つも用意して路辺でお湯を沸かし自炊している。その数は20台近い。遠くは和歌山、愛知小牧、そして千葉、茨城のナンバーが見える。
 一生懸命に生きてきた老人たちが、最後に苦しみから逃れることができるのは、やはり自助努力でしかないのだろうか。
老人達の気持ちと身体とは裏腹に、空は抜けるような青空になってきた。

                      

 福井ナンバーのRV車が2台通り通りかかりました。いかにも芸術家というスタイルで、ドライバー2人が降りて来ました。玉川の渓谷を覗き込んで、「写真に撮る気がせん」という。去年はとても綺麗だった、今年はダメという。プロですかと聞いたら、「そう」と答えた。「良い写真はこまめに歩いて撮るのが一番だ、体力勝負だ!」

  ...........
             




      無料ブログ(blog) 無料ホームページ作成