乳頭温泉の一つに鶴の湯がある。いくつかある乳頭温泉の中で訪れるお客様がもっとも多い、一番人気の温泉だ。今日はここを訪れた。生憎、どんよりとした曇り空で、時間の経過とともにポツポツ雨粒が落ち、時々傘を差し、雨宿りする按配であった。

 ロマンを感じさせる「鶴の湯」の名は、千年の昔、土地の猟師が、傷が癒えて飛立つ鶴を見て、湯小屋を開いたことに由来している。1688年あたりから湯宿として経営したとの記録があるそうだ。

軒下に唐辛子が干してある

 今年は全国各地で熊が人里に現われ、けが人も出ている。宿の主人に熊のことを尋ねてみた。「このあたりでも熊が生息しており、キノコ狩りをしていても、出会うことがある。
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水車小屋が風情を添える

熊はもともと里山をテリトリーとしていたが、開発に伴い山奥に追いやられた。このあたりの熊はシャイで、出会っても負けることない」という。
 また、熊は雪の降るころまで活動し冬眠に入る。春に目覚めた熊は胆のうが膨らみ、熊の胆が取れるという。春の肉は臭いが、秋の肉は臭いもなく甘くておいしい。焼肉をすると子供達のリクエストはどの肉よりも熊の肉に集まる。子供の味覚は正直だと教えてくれた。秋の熊肉を味わってみたいと思う男であった。
 「鶴の湯」の送迎バスのドライバーはこの宿の社長でした。どうりで風格があるはずだ。その社長に聞いた話ですが、バス道路から100mほど山に入ると、ブナの幹に熊の爪痕が見られるという。
 栗駒山に登った人からも聞いたが、台風が幾つも通過し、青森のリンゴだけでなく、熊の大好物であるブナの実も大方落ちてしまった。その落ちた実を野ネズミや他の小動物が我さきに食べ、貯蔵した。熊の胃に入らないので、腹を空かせ、里に出てきて捕獲されたり、射殺されたりするのではないか聞いた。
 男は道中、熊に出会うこともなく帰郷できたことでホットしている。





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